高齢者が低栄養になる原因とは? 栄養バランスを考えた食事で健康のサポートを
高齢者になるとさまざまな原因によって低栄養になる傾向があります。
栄養が不足することで、体調不良を引き起こすなど日常生活に影響が出てくることも。
低栄養の状態を防ぐためには、栄養のバランスを考慮したり、食べ方を工夫したりするなどして対策をする必要があります。
今回の記事では、高齢者の低栄養についての原因と、その対策について解説したいと思います。
目次
高齢者が低栄養になる原因は?
高齢者が抱える健康課題の一つに、「低栄養」に陥りやすいことが挙げられます。
低栄養の症状としては、体重が減少する、筋力が低下する、風邪や感染症にかかりやすくなる、などがあります。
この低栄養には、身体的、社会的な要因があるといわれています。
厚生労働省が発表している「令和元年度 国民健康・栄養調査結果の概要」では、以下のようなデータが出ています。
●65歳以上の低栄養傾向の者(BMI≦20kg/m2)…男性12.4%、女性20.7% ●85歳以上の低栄養傾向の者(BMI≦20kg/m2)…男性17.2%、女性27.9% |
上記のデータを見てもわかるように、年齢が上がるにつれて低栄養の傾向が強くなることがわかります。
こちらでは高齢者の低栄養について、主な原因を解説していきます。
高齢者が低栄養になる食事の原因1:身体の機能の低下
年を重ねていくと食事に必要な咀嚼(そしゃく)力や嚥下(えんげ)力が低下するといわれています。また年齢にともなって唾液の分泌量が減り食事がしづらくなることも。
特に嚥下障害があると、食べる楽しみが減ってしまいます。
食事量が減ることで、栄養が不足してしまう事態に。
また家族や友人、ペットなどの死による孤独感からストレスを感じ、精神的な影響を受ける可能性があります。
高齢者が低栄養になる食事の原因2:孤食による食事の偏り
内閣府が発表している「令和4年版高齢者白書」によると、一人暮らしをする65歳以上の高齢者は、男性が15%、女性22.1%(令和2年)というデータが出ており、年々増加傾向にあることが分かっています。
一人暮らしをしていると、必然的に孤食(一人での食事)の回数が増えることになります。
孤食の高齢者は、弧食でない高齢者に比較して摂取する食品の多様性が乏しくなり、低栄養の頻度が高いことがとある研究でも明らかになっています。
こういった背景からも、一人暮らしで孤食の機会が多い高齢者は家庭環境で暮らす高齢者と比較して、食事中のタンパク質、果物、野菜の摂取量が大幅に少なくなり、栄養不足に陥りやすくなります。
また栄養不足の原因には、孤食の高齢者はコンビニの惣菜やインスタント食の利用頻度が高く、食物の摂取が偏っていることも挙げられます。
高齢者が低栄養になる食事の原因3:食事環境への変化
高齢者は体力の低下から、家からスーパーなどの店舗までの距離が長いと買い物へ行く機会が減ってしまいます。特に自家用車を運転しない人や自立度が低い人はますます外出が遠のくことに。
食料品へのアクセスに制約があると生鮮食品の調理機会が減り、外食や中食に頼る傾向となり、栄養バランスが乱れがちになります。
高齢者の食事で栄養不足が続くとどうなる?
では実際に栄養不足の状態が続くとどうなってしまうのでしょうか。
こちらでは低栄養が進むとどのような影響が出てくるのか、解説したいと思います。
活動量や体力が低下する
身体をつくるための栄養素が不足すると疲れやすくなり、活動量が低下します。活動量が低下すると食欲が低下し、さらに食事量が減少するという悪循環に。そうなるとますます低栄養状態が加速する状況に陥ってしまいます。
また低栄養は筋肉量が減少したり筋力が低下した状態を指す「サルコペニア」を引き起こしやすくなります。
高齢者はサルコペニアが進むことで転倒しやすくなったり、心身の活力が低下して要介護状態になるリスクが高まる「フレイル」に移行しやすくなります。
予防のためには、日々の適度な食事と運動は欠かせません。
QOLの低下につながる
内閣府が発表している「令和4年版高齢者白書」によると、健康状態が良くない高齢者は、良い高齢者よりも生きがいを「十分感じている」と回答した割合が低いデータが出ています。
低栄養により健康状態が悪化することで精神的なストレスを感じやすくなり、QOL(Quality of Life=生活の質)の低下をきたす可能性も。
昨今の超高齢化社会では、豊かな人生を送るためにもQOLの維持が課題とされています。
高齢者の低栄養を防ぐ食事に必要な栄養素とは
低栄養は健康に悪影響を及ぼすことが分かりましたが、その対策として普段の食事を見直す必要があります。
栄養のある食事を規則正しく摂ることは、生活リズムを整えることにも繋がり、食欲の増進も期待できます。
無理に食事を摂ろうとするとかえってストレスになるため無理はせず、押さえておきたい栄養素を意識して食事から摂取するようにしましょう。
高齢者が摂取すべき栄養素は以下になります。
栄養素全般
一人暮らしや一人の時間が長い高齢者にとって、毎日の食事の用意は面倒となりついパンや麺類など手軽に食べられるものに頼ることが多くなりがちです。しかし、そのような食生活が続くと栄養不足に。
健康状態を保つうえでは、身体活動に関わる栄養素をバランスよく摂ることが重要です。炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルを過不足なく摂取しましょう。
そのためには、1回の食事で主食・主菜・副食を揃えてさまざまな食品を摂取するようにしましょう。
たんぱく質
低栄養を防ぐために、特に不可欠なのがたんぱく質の摂取です。たんぱく質は筋肉や皮膚、骨、ホルモンなどの材料となる重要な栄養素です。
高齢者は、食後の筋肉におけるたんぱく質合成が、成人期と比べて低下する傾向にあるため、積極的にたんぱく質を摂取するようにしましょう。たんぱく質は、さまざまな食品に含まれており、そのなかでもたんぱく質を構成するアミノ酸をバランスよく含む食品(「アミノ酸スコア」が高い食品)を摂取することで、体内でたんぱく質が十分に合成されやすくなります。
また、アミノ酸の一つである「ロイシン」は特に、たんぱく質合成を促進するはたらきがあるといわれています。
アミノ酸スコアが高く、このロイシンを豊富に含むのは、動物性の食品(肉、魚、卵、乳製品)と大豆製品です。参考にしてみてください。
エネルギー
日頃の身体活動には、エネルギーが必要です。また、たんぱく質の必要性を先に述べましたが、筋肉の合成にももちろんエネルギーが必要となります。そのため、エネルギーとなる栄養素をしっかり食事から摂取する必要があるのです。
エネルギーを産生する栄養素は、「炭水化物」、」「たんぱく質」、「脂質」の3つです。
たんぱく質のみならず、ご飯、パンなどの主食をしっかり摂取して、油脂も適度に料理に取り入れながら食事をすることが望ましいといえるでしょう。
高齢者の食事で栄養不足を防ぐための対策
高齢者の低栄養の対策として栄養素をしっかりと摂取することはもちろん、食事を摂るためにさまざまな工夫を取り入れるとよいでしょう。
例えば、一度にたくさん食べられない場合には、食事の回数を増やし、少しずつ食べるのも一つの手です。また、食欲不振がみられる際には、ドリンクやゼリータイプの栄養補助食品を利用するのもおすすめです。
孤食で食事がどうしても偏ってしまう悩みをもっている方は、高齢者用の宅配弁当や、配食サービスなどの利用で栄養バランスの取れた食事をとる方法も。「具体的にどういった食事や栄養を摂ればいいか分からない」という方は、栄養・ケアステーションで管理栄養士からアドバイスを聞くのもよいでしょう。
当たり前のことに感じるかもしれませんが、一日三食、口からしっかり食べることが大切です。
高齢者の方は栄養素に過不足がないよう、工夫しながら食べるものや食べる量をコントロールしてみましょう。
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