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2025.12.16

献立の考え方で必要な要素とは?業態別の給食の目的についても整理

多くの給食施設では、栄養士や管理栄養士が献立を作成し、その献立をもとに食材の発注・調理・提供が行われます。献立を考える際には、栄養バランスだけでなく、おいしさ・原価(コスト)・アレルギー対応など、さまざまな要素を総合的に検討する必要があります。

本記事では、給食の献立を立てる際に重要となる基本的な考え方とポイントをまとめました。

献立の基本の考え方|給食では何が求められる?

給食の献立づくりは、単においしい食事を提供するだけの業務ではありません。

対象となる人の年齢や健康状態、施設の特性に応じて、栄養・味・安全性などを総合的に考慮する必要があります。病院や高齢者施設、事業所など、さまざまな場面での給食には「健康を支える食事」としての役割が期待されています。

ここでは、給食の献立を考える際に押さえておきたい要素を紹介します。

栄養バランス

献立づくりの基礎となるのが、栄養バランスの確保です。 バランスの取れた献立を考えるためには、給与栄養量や食品構成表といった基準を活用することが欠かせません。

給与栄養量
  • 集団給食で1人1回の給食に含まれるべき栄養素の基準量のこと
  • エネルギー、たんぱく質などの栄養素について「このくらい摂取するのが望ましい」という基準値が定められている
食品構成表
  • 給与栄養量を実際の食品の組み合わせに置き換えたもの
  • 基準となる栄養量を満たすように、米・肉・魚・野菜・果物・乳製品などをどのくらい使えばよいかを示した表である

このように給与栄養量や食品構成表をもとにして、主食・主菜・副菜などをバランスよく組み合わせ、多様な食材を使用することが大切です。

区分概要使用食材例
主食穀類を主材料とする料理
炭水化物の供給源

パン
麺類 など
主菜たんぱく質の供給源
体の組織の材料となる
肉類
魚類
大豆・大豆製品
卵類 など
副菜ビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源
体の機能をサポート
野菜類
豆類(大豆除く)
海藻類 など
汁物ビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源
水分補給の役割
野菜類
豆類
海藻類 など
牛乳
乳製品
カルシウムの供給源
骨や歯を維持する役割
牛乳
チーズ
ヨーグルト など
果物ビタミンCの供給源キウイフルーツ
バナナ
みかん
いちご など

特に日常的に不足しがちな食品(海藻類・豆類・緑黄色野菜など)を積極的に取り入れることで、栄養の偏りを防ぐことができます。

関連記事:「献立作成の基本的な考え方|栄養バランスの良い献立を立てるポイント

おいしさ

どんなに栄養バランスが良くても、「おいしく食べられること」は欠かせません。味付けは薄味を基本としながら、だしや香辛料を上手に使って旨味を引き出すことで、減塩しつつ満足感を高めることができます。

また、同じ食材や調理法(煮る・焼く・揚げる・炒めるなど)が続かないように工夫し、飽きのこない献立にしましょう。和食、洋食、中華など、料理の系統にも変化をつけて全体のバランスを意識することも大切です。

さらに、味そのものだけでなく、彩りや盛り付けなどの見た目、そして香りなど、味覚以外の感覚を意識することも食欲に大きく影響します。献立作成の段階でも、見た目のおいしさを意識することで、より満足度の高い食事を提供できます。

原価(コスト)

給食運営では、限られた予算のなかで「栄養」と「おいしさ」を両立させることも、栄養士・管理栄養士の重要な役割といえます。

献立を作成する際は、食材ごとの原価を把握し、1週間や1か月といった一定期間内で全体のコストが予算内に収まるように調整することが理想です。

さらに、発注や食材管理の段階でも、次のような取り組みが原価管理において重要です。

  • 安価な旬の食材の活用する
  • 食材を一括購入して仕入れコストを削減する
  • 発注量を正確に管理し、必要な分だけ調達する
  • 棚卸を適切に行い、実際に使用した食材の原価を算出する
  • 賞味期限を定期的に確認し、食品ロスを最小限に抑える

このように献立作成のほか、発注・在庫管理を含めたトータルでの原価管理が求められます。

調理の効率性

給食は一度に多くの人へ提供するため、調理の効率性が大きなポイントになります。

例えば、スチームコンベクションオーブンの使用が重ならないようメインや副菜の調理方法を分散させる、盛りつけに時間がかかる献立ばかりにしないなどがあります。

献立を作成する段階で、調理時間や使用機器、人員配置に無理がない献立を作成するようにすることで、スムーズで安全な給食運営を実現できます。

安全・衛生面

給食においては、衛生管理の徹底が最も重要です。特に大量調理施設では、特定多数の人に食事を提供するため、わずかな管理ミスが大規模な食中毒につながるおそれがあります。そのため、衛生管理が難しい料理は献立に組み込まないようにすることが基本です。

厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルでは、食品の加熱温度や時間、冷却・保存温度などの基準が定められています。マニュアルの基準を満たさない料理や、提供を避けるべき料理の例としては次のようなものがあります。

  • 低温調理の肉類
    →カンピロバクター食中毒のリスク
  • 生または加熱不十分の卵料理(半熟の卵焼き、手作りのタルタルソースなど)
    →サルモネラ等による食中毒のリスク
  • 生ものなど非加熱のまま提供される食品(刺身・寿司・カルパッチョなど)
    →アニサキス・腸炎ビブリオ等の食中毒のリスク
  • 自家製の発酵食品(自家製ピクルス・ぬか漬け) など

これらの料理は食中毒の原因となる危険性が高いため、献立に含めないよう注意が必要です。「うっかり献立に入れてしまった」ということがないよう、献立作成時に十分確認しましょう。

アレルギー対応

献立を作成する際は、食物アレルギーを持つ利用者への配慮が欠かせません。たんぱく質が不足しない範囲で、アレルギーの原因となるたんぱく質を含む食品を除去したり、代替食材を使用したりすることで、誰もが安全に食事を楽しめるよう工夫します。

特に特定原材料8品目はアレルギーの発症頻度が高く、症状が重篤化しやすいことから、食品表示基準において表示が義務付けられている食品です。そのため、献立作成時には使用状況をしっかり把握しておく必要があります。

項目特定原材料等の名称
特定原材料
(8品目)

※表示の義務あり
  • えび
  • かに
  • くるみ
  • 小麦
  • そば
  • 乳落花生(ピーナッツ)
特定原材料に準ずるもの
(20品目)

※表示が推奨されている
  • アーモンド
  • あわび
  • いか
  • いくら
  • オレンジ
  • カシューナッツ
  • キウイフルーツ
  • 牛肉
  • ごま
  • さけ
  • さば
  • 大豆
  • 鶏肉
  • バナナ
  • 豚肉
  • マカダミアナッツ
  • もも
  • やまいも
  • りんご
  • ゼラチン

※「特定原材料」および「特定原材料に準ずるもの」は改正により、品目が変更されることがあります。

また、誤配膳や調理ミスを防ぐためには、複雑なアレルギー対応が必要となる献立は避け、安全面を最優先に考えましょう。

関連記事:「ソフトム通信 第85号「『特定原材料に準ずるもの』へのマカダミアナッツの追加、まつたけの削除」について

食育

給食は、栄養補給の場であると同時に、食育の貴重な機会でもあります。

献立を作成する際には、行事食や地元食材を取り入れることで、季節の移り変わりや地域の食文化を感じられる内容にすることができます。また、世界の料理や郷土料理を献立に組み込むことで、食の多様性を学び、食に対する興味や理解を深めることにもつながります。

さらに、近年ではSDGsの観点から、フードロス削減、地産地消、フードマイレージの削減など、環境や社会への配慮を意識した献立づくりが重視されています。こうした社会的な視点を取り入れることも、給食を提供する際に意識しましょう。

業態によって給食献立の考え方や目的は異なる

業態によって給食献立の考え方や目的は異なる

給食と一口にいっても、その目的や重視されるポイントは業態によって大きく異なります。
学校や病院、高齢者施設、事業所など、それぞれの現場で求められる給食の役割を理解することも重要です。

ここでは業態ごとの給食の役割を整理して紹介します。

保育園・幼稚園

保育園や幼稚園の給食は、乳幼児の健やかな発育を支え、正しい食習慣の基盤をつくることを目的としています。成長の著しい時期に、食を通じて心身の発達を促す大切な役割を担っています。

▼保育園・幼稚園での給食の役割

役割内容
身体の成長を支える乳幼児期の身体発育・発達のためのエネルギーや栄養素を供給する
食行動の育成 噛む・飲み込むなどの基本的な食行動を身に付けられるよう、年齢や発達段階に応じた調理形態を取り入れて身体の発達を支える
食習慣の形成さまざまな食材や料理を経験し、「食べたい」「面白い」という興味や、食べられるものの種類を広げていく
マナー教育箸の使い方など基本的な食事マナーを学ぶ場として機能する
家庭との連携給食が家庭の食事づくりの参考となり、家庭と連携した食育の橋渡し役を担う
社会性の育成みんなと一緒に食べる体験を通して協調性を育てる

このように、保育園や幼稚園の給食は、単なる食事の場ではなく、子どもたちが「食べることを通じて生きる力を育む」ための教育的な場として重要な役割を果たしています。

学校・教育機関(小中学校など)

学校給食は、子どもたちの健やかな成長を支える食事であり、また教育の一環として多様な学びの機会を提供しています。

▼学校・教育機関での給食の役割

役割内容
身体の成長を支える成長期に必要なエネルギーや栄養素をバランスよく摂取する
食育の場食文化やマナーを学ぶ「食育」の場として機能している
郷土食・旬の活用郷土料理や旬の食材を取り入れ、地域の食文化への理解を深める
健康教育生活習慣病予防や正しい食習慣を身につける「健康教育」の一環となっている
社会性の育成みんなで同じ食事を取る体験を通じて協調性や社会性を育む
教科連携理科・社会科などの授業と連携し、食材や栄養への理解を深める
地産地消の推進地元産の食材を使うことで地域とのつながりを強める

このように、学校・教育機関における給食は、単なる食事提供にとどまらず、子どもたちの身体的な成長と社会性の発達を支える役割を果たしています。

病院

病院給食は、治療と回復を支える「医療の一部」として重要な役割を担っています。診断に基づく医師の指示のもと、管理栄養士が患者の年齢・性別・体格・栄養状態などを考慮して個別に栄養管理計画を立てたうえで、適切な食事を提供します。

▼病院での給食の役割

役割内容
食の楽しみ患者のQOL(生活の質)向上のために、見た目・味・香りなど「食の楽しみ」を重視する工夫を行う
栄養管理治療の一環として、病状に応じた食事制限を実施する
(例:腎臓病ではたんぱく質やカリウムの制限を行う)
適切な栄養管理により、合併症の発症を防ぐ

このように病院での給食は、医療の一環として治療を支え、患者の身体的・精神的な回復を促す重要な役割を果たしています。

高齢者施設

高齢者施設では、入居者の日常生活を支え、健康と心の豊かさを保つために給食が提供されています。加齢に伴う身体機能の変化や個々の健康状態に配慮しながら、安全で楽しみのある食事を提供することが求められます。

▼高齢者施設での給食の役割

役割内容
低栄養の予防たんぱく質をはじめとした栄養素をバランスよく摂取できる献立づくりで、虚弱や低栄養を防ぐ
安全な食環境の提供咀嚼・嚥下機能の低下に対応し、刻み食やソフト食など形態を工夫して安全に食べられる環境を整える
生活の楽しみ入居者同士が一緒に食事をすることで孤食を防ぎ、心の健康と交流を促進する
季節の行事食や誕生日メニューを通じて生活に彩りを添える

このように高齢者施設での給食は、入居者の心身の健康を支え、日々の生活に生きがいと豊かさをもたらす重要な役割を果たしています。

事業所

事業所の給食は、従業員の健康維持と生産性の向上を目的として提供されています。社員食堂の整備や食事の提供は、働きやすい職場環境づくりや企業の魅力向上にもつながります。

▼事業所での給食の役割

役割内容
福利厚生の充実社員食堂を福利厚生の一環として位置づけ、従業員満足度の向上や職場環境の改善に寄与する
経済性と利便性外食よりもリーズナブルに食事を提供し、移動時間を短縮して休憩を有意義に過ごせる環境を整える
コミュニケーション促進社員食堂を交流の場として活用し、昼食時の会話や部署間のつながりを生む
多機能空間としての活用食堂をカフェや商談スペース、終業後のリフレッシュ空間としても利用し、職場の活性化に貢献する

このように事業所での給食は、従業員の健康を支えるだけでなく、組織の生産性向上や社内コミュニケーションの活性化にも寄与する、企業運営における重要な要素となっています。

献立作成をサポートするソフトムのツール・機能を紹介

給食の献立作成は、栄養バランスやアレルギー対応、コスト管理など、考慮すべき要素が多く、非常に時間と労力を要する業務です。そのため、栄養士・管理栄養士が日々の献立づくりに悩むことも少なくありません。

近年では、こうした負担を軽減し、より効率的で精度の高い献立作成を実現するためのデジタルツールが注目されています。

次から、実際に給食現場で活用されているソフトムのツールや機能について紹介します。

メニューアシスタントAI

メニューアシスタントAI』は、ソフトムの新給食・栄養管理システム『メニューデザイナーNEXT』のオプション機能で、自動で献立を提案する機能です。

原価・栄養価を考慮し、特定の条件に合う料理の組み合わせを提案します。

この機能を活用することで、献立のアイデア出しにかかる時間を大幅に短縮できるうえ、過去のデータや人気メニューを参考にした構成も可能です。業務効率を高めながら、栄養バランスの取れたメニューを継続的に提供できる点が大きなメリットといえるでしょう。

メニューアシスタントAIの詳細はこちら

重複チェック機能

重複チェック機能はソフトムの『メニューデザイナーNEXT』内で利用でき、設定した食品やアレルゲンが献立内で重複していないかを自動で確認できる仕組みです。特定の食材に色がつくため、ひと目で被りを見つけられます。

これにより、同じ食材が複数の料理に使われることを防ぎ、献立全体のバランスを整えることが可能になります。また、アレルゲン食材をチェックできるため、アレルギーによる事故のリスクを減らし、安全な給食運営にもつながります。

メニューデザイナーNEXTの詳細はこちら

メニューバランス機能

メニューバランス機能もソフトムの『メニューデザイナーNEXT』内で活用できる機能で、主菜の食材や調理法のかぶり、料理の組み合わせを色やイラストでわかりやすく表示する機能です。

例えば、同じ週に「揚げ物」が続いていないか、肉と魚のバランスが取れているかといった点を視覚的に確認できます。

この機能を活用することで、調理の偏りを防ぎ、飽きのこない献立づくりをサポートできます。見た目で直感的にバランスを把握できるため、献立の確認作業もスムーズに進められるでしょう。

メニューデザイナーNEXTの詳細はこちら

献立管理のことであれば「ソフトム」にご相談ください

献立管理のことであれば「ソフトム」にご相談ください

健康な生活は、健全でバランスの良い食生活から。

私たち「ソフトム」は、1984年創業以来、食品加工業向けのアプリケーションソフトの開発から始まり、さまざまなお客様の課題解決のお手伝いをしてきました。

プロの栄養士・管理栄養士が利用する栄養管理システムで、献立から発注・仕入・在庫まで、給食業務を幅広い管理で業務の効率化を実現。

プロの管理栄養士がお客様の業務を正確に理解し、導入〜運用・保守までトータルサポートいたします。

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