高齢者の食事の特徴って?健康のために摂取すべき栄養や注意すべきポイントを解説
高齢者の食事の特徴といえば、みなさんはどのようなものが頭に浮かびますか?
あっさりしたものや味が薄いものなど、少し質素な食事を思い描く人がいるかもしれません。しかし、実際には老化で味覚を感じにくくなり、味の濃いものを求める人も。
また、最近では介護のシーンでも食事が楽しめるよう、見た目の鮮やかさにこだわる老人ホームや病院も増えています。
高齢者が健康な生活を送るためにも栄養素を摂取する「食事」は、とても大切なものです。老化によって「食欲がわかない」、「食べられない」といった影響が出てくる傾向にあるので、栄養不足にはくれぐれも気を付けなければいけません。
今回の記事では、高齢者の食事において注意すべきポイントもあわせて解説していきます。
目次
高齢者の食事の特徴1:一日に必要なエネルギーや栄養素
高齢者の食事の特徴として、特に一人暮らしの人は、手軽に済ませられるものになってしまうことが挙げられます。また、家族と住んでいても一人の時間が多い人は同様の傾向にあります。外出の機会が減ると、自分で食材を調達して調理をすることが億劫になりがちです。
また、老化によって食べられないものが出てきたり、食欲が減退したりすることも少なくありません。これでは必要な栄養素が摂取できず、健康に悪い影響を及ぼしてしまうことも。
高齢者にはどの程度のエネルギーや栄養素が適量か、知っておくのも大切なことです。
ここでは一日に必要なエネルギーと栄養素について、それぞれご紹介いたします。
高齢者が食事で必要な一日のエネルギー
高齢者は一体、どのくらいの食事をすれば良いのでしょうか。実際、自分の毎日の食事量が適量かどうかを把握しているという方は多くないかもしれません。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」のデータは以下の通りです。
基準となる体格に対して、3種類の身体活動レベルで算出されているので、自身に近いものを参考にしてみてください。
■参考データリンク先:「厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
【基準となる体格】
<男性>・65~74歳:身長 165.2cm / 体重 65.0kg・75歳以上:身長 160.8cm / 体重 59.6kg <女性>・65~74歳:身長 152.0cm / 体重 52.1kg・75歳以上:身長 148.0cm / 体重 48.8kg |
【身体活動レベル】
<身体活動レベル> ●65~74歳の場合 ・レベルⅠ(低い):生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合 ・レベルⅡ(普通):座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む場合 ・レベルⅢ(高い):移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合 ●75歳以上の場合 ・レベルⅠ(低い):自宅にいてほとんど外出しない、介護施設にいて自立している ・レベルⅡ(普通):自立している |
【一日に必要なエネルギー】
●65~74歳の場合
身体活動レベル | 活動レベルⅠ(低い) | 活動レベルⅡ(普通) | 活動レベルⅢ(高い) |
---|---|---|---|
男性 | 2050kcal | 2400kcal | 2750kcal |
女性 | 1550kcal | 1850kcal | 2100kcal |
●75歳以上の場合
身体活動レベル | 活動レベルⅠ(低い) | 活動レベルⅡ(普通) |
---|---|---|
男性 | 2050kcal | 2400kcal |
女性 | 1550kcal | 1850kcal |
高齢者の食事で必要な栄養①:エネルギー
一日に必要なエネルギーをご紹介しましたが、しっかり摂るためにはパンやご飯などの主食を食べることはもちろん、主菜や副菜などのおかずも取り入れることが大切です。
なるべく一日3食を心がけて、炭水化物やたんぱく質、脂質を摂取することは、体力の保持につながります。
高齢者の食事で必要な栄養素②: たんぱく質
高齢者の食事で気を付けたいのが、たんぱく質不足です。
エネルギーやたんぱく質が足りていないと「低栄養」状態に陥り、筋力が落ちたり骨が弱ったりとさまざまなリスクが高まってさらに老化を進める原因に。
特にたんぱく質は筋肉を作る栄養素として知られていますが、骨や血管、髪の毛、皮膚など、人間の身体を構成するために欠かせないものです。
たんぱく質が足りていないと筋力が落ち、高齢者は「フレイル(虚弱)に陥るといわれています。
筋力が落ちると今よりも動けなくなり、噛んだり噛み砕いたりする力も弱くなってますます食事が困難となり悪循環になる一方です。
このような状態を避けるためにも、たんぱく質を含む肉や魚、卵、豆(豆腐・納豆など)を積極的に摂取するとよいでしょう。
ここではエネルギーとたんぱく質を取り上げましたが、もちろんこれらのほかにビタミンやカルシウムなども大切な栄養素です。
栄養バランスのとれた適切な食事で健康を維持しましょう。
高齢者の食事の特徴2:高齢者ならではの悩み
高齢になると足腰が弱るなど身体の悩みをよく聞きますが、食事の面でもさまざまな悩みが出てきます。
一人で食事をする「孤食」をしたり一人の時間が長い人は、食事への興味や関心が低下しやすく、「食べる回数が減った」といった声も。食事の回数が減ると先ほどもご紹介したとおり、エネルギーや栄養素が不足して健康に悪影響を及ぼしてしまいます。
また、年齢とともに歯が抜けたり入れ歯になったり、また筋肉の衰えによって咀嚼する力が弱くなってきます。これが原因で「固いものが食べられなくなった」という人も多いでしょう。
さらに唾液の分泌量も減少するので、食べたものを口のなかでうまくまとめられなかったり、飲み込みにくかったりすることも。飲み込む力も減っているので、時に食べたものが食道でなく気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」が起きやすくなってしまいます。
よくお年寄りがお餅などを喉につまらせたといったニュースを見かけますが、実は水やお茶でも誤嚥を起こす可能性があります。汁物など水分の多いものは注意しなければいけません。
高齢者の食事の特徴3:注意すること
高齢者が家庭内で食事をしづらそうにしていたり、食べる量が減ったりしていると心配になってしまいますよね。
前述のとおり、さまざまな悩みが出てくると食事への意欲が沸かなくなってしまいます。毎日美味しく食事を摂ることは、心身ともに健康へとつながる大切なことです。
こちらでは高齢者の食事における注意点を解説いたします。食事を作る際や、食事介護を行う際の参考にしてみてください。
塩分の過剰摂取
高齢者は味の薄いものを好むイメージがあるかもしれませんが、実際は老化とともに味覚が鈍くなるため濃い味付けを好む傾向にあります(個人差があります)。いつも食べていたものでも以前より味が薄く感じたり、しょっぱいものが美味しく感じられたりするので、塩分過多になる可能性が。
また特に一人暮らしの場合、買い物や調理が困難となり、手軽に食事を済ませられるスーパーやコンビニの弁当、総菜を利用する割合が増え、塩分を摂りすぎる原因に。
塩分の過剰摂取は血圧の上昇につながり、脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなり得るので、注意しましょう。
誤嚥のリスク
咀嚼する力や飲み込む力が弱まり、あまりよく噛まないで飲み込んでしまうことで誤嚥のリスクが上がります。
若く健康な人であればむせてもすぐに体外へと排出できるところですが、高齢者の場合はそのまま気管に入り込んでしまうことも。
誤嚥性肺炎や窒息など命に関わるトラブルを引き起こす可能性もあることを理解しておかなければいけません。
誤嚥への対策は、しっかり噛むことです。食べ物と唾液を混ぜ合わせて、飲み込みやすいかたまりの「食塊(しょっかい)」を形成するのがポイントです。咀嚼をすることは、脳血流量の増加につながり、認知機能の低下防止にもなるといわれています。
また、飲み込みやすくすることも大切です。むせないように水分の多いものにはとろみをつけるなど、調理方法にも工夫をするとよいでしょう。
一人で食べるリスク
近年は、高齢者が一人で食べる「孤食」の増加が問題視されています。
一人だけの食事になってしまうと食べやすさや用意のしやすさを優先した食事が多くなり、栄養バランスが偏りがちに。また食事自体が楽しめなくなり、食事量が減ってしまう原因にも。
十分な栄養が摂取できていないと低栄養になり、身体的な悪影響はもちろん、精神的にも塞ぎ込みやすくなり、心理的健康度の低下につながってしまいます。
孤食の高齢者は、そうでない高齢者に比べて食品摂取の多様性に乏しく、低栄養(やせ)の頻度が高く、心理的健康度が低いことからうつ傾向の頻度が高いという研究結果もあります。
ときには家族や友人と食事をする機会を設けることで食事中のコミュニケーションが生まれ、食事を楽しく感じることができるでしょう。
できるだけ孤食を避けて楽しい食事ができる環境を工夫しましょう。
高齢者の食事管理は「ソフトム」におまかせ
健康な生活は、健全でバランスの良い食生活から。
私たち「ソフトム」は、1984年創業以来、食品加工業向けのアプリケーションソフトの開発から始まり、さまざまなお客様の課題解決のお手伝いをしてきました。
プロの栄養士・管理栄養士が利用する栄養管理システムで、献立から発注・仕入・在庫まで、給食業務を幅広い管理で業務の効率化を実現。
プロの管理栄養士がお客様の業務を正確に理解し、導入〜運用・保守までトータルサポートいたします。
お困りごとがありましたら、まずはお気軽にご連絡ください。