献立の栄養価計算方法|食品成分表を使って計算しよう
献立作成業務を担う栄養士・管理栄養士にとって、栄養計算は欠かせないスキルです。
現在はソフトによる栄養計算が主流ですが、正確に栄養価計算をするうえで、食材の計量や食品成分表の見方といった注意すべきポイントを理解しておく必要があります。
もちろん栄養士・管理栄養士でなくとも「この料理・献立には栄養がどのくらい含まれているのか」を知るために、栄養価計算方法を知っておいて損はありません。
本記事では、食品成分表を使った献立の栄養価計算方法について詳しく解説します。
目次
献立の栄養計算に関する基本知識
栄養計算とは、文部科学省が定める「日本食品標準成分表(食品成分表)」に収載されている成分値に基づき、食材・料理などの栄養価を算出することです。
食品成分表には、日常的に食べられている食品の成分値がまとめられており、文部科学省が分析や改定を行っています。
栄養計算は、主に栄養士・管理栄養士が献立作成や栄養食事管理・指導をする際に必要になりますが、最近では飲食店でも栄養計算結果がメニューに表示されるケースも多く見られます。
献立の栄養計算方法
今回は3つのステップに分けて献立の栄養価計算方法について解説します。
STEP①食材料の計量をする
栄養価計算をする前に、献立内容にある料理の食材重量を計量します。
- 食材の廃棄部分(野菜のへたや皮、魚の骨など)は取り除く
- 料理1人前の全ての食材量・調味料の重量(g)を量る
- 重量(g)は料理別にメモしておく
食材は種類や部位なども確認しておきましょう。(例:豆腐→木綿豆腐または絹豆腐)
1人前ずつの重量が量れない場合、調理に使う全体量をはかり、重量を提供人数で割ると、1人当たりの重量が算出できます。
STEP②栄養成分の計算
献立に使用されている食材料の重量をすべて計量したら、食品成分表を使って栄養計算をします。
栄養計算をする際は、食品成分表に収載されている可食部100gあたりの成分値をもとに、計量した重量あたりの成分値を算出しましょう。
一般的に算出する項目は、エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5項目です。
▼栄養計算の方法
- 食品成分表から計算する食材を探す
- 実際の食材の重量に含まれる栄養素を以下の式から算出
食材に含まれる栄養素の量=食材の重量÷100×成分値(食品成分表に記載の値) |
食品成分表に記載されている栄養成分は可食部100gあたりの量ですので、上記の式から栄養成分値を算出が可能です。
2つの例を挙げてみましょう。
例1:牛乳200gに含まれるたんぱく質量を計算したい場合 食品成分表では、牛乳(普通牛乳)100gあたりのたんぱく質量は3.3g 【式に当てはめると】牛乳200gに含まれるたんぱく質の量=200g÷100×3.3g=6.6g 【結果】牛乳200gあたりに含まれるたんぱく質量は6.6g |
例2:白飯150gに含まれる炭水化物量を計算したい場合 白飯は炊いた状態であれば「水稲めし/精白米/うるち米」を参照食品成分表だと白飯100gあたりの炭水化物量は37.1g 【式に当てはめると】白飯150gに含まれる炭水化物量=150g÷100×37.1g=55.65g≒55.7g 【結果】白飯150gあたりに含まれる炭水化物量は55.7g |
献立に使用するすべての食材について各栄養成分量を算出し、記入しましょう。
STEP③各栄養成分の合計
献立に使用する栄養成分量が算出できたら、料理ごとにエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の小計をしましょう。そして、料理ごとの小計を全て合算し、献立全体の栄養計算合計を出します。
注意点としては、各栄養素の数値の表示方法に気を付けることです。
エネルギーであれば、単位は「kcal」で整数表示、たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の単位は「g」で小数点以下1位まで表示します。
【エネルギー】150.1kcal→150kcal
献立の栄養計算におけるポイント
【たんぱく質】29.68g→29.7g
献立の栄養計算を正確にするためにはいくつか気を付けるべきポイントがあります。
食品成分表は最新版を使用する
栄養計算する際は、食品成分表は最新版の「日本食品標準成分表2020(八訂)」を使用しましょう。(2023年12月時点)
最新版であれば、科学的に確かな情報や成分値が収載されています。
なお、食品成分表は書籍として販売されているほか、文部科学省が公開しているPDFで閲覧や、食品データベースで検索ができます。
食材の種類・部位の確認
食品成分表には数多くの食材が細かく分類されています。
栄養計算を正確にするためにも、食材の種類・部位が適切なものを選ばなければいけません。
例えば「鶏肉」ひとつをとっても「親どり」「若どり」で分けられ、さらに部位(手羽先・手羽元・むね・もも・ささみなど)で分かれています。
また鶏肉のなかで「若どり・むね」であっても、皮あり・皮なしで栄養成分値が異なります。
このように、正確に栄養価計算をするためにも、使用した食材が食品成分表のどの分類にあたるかを確認しましょう。
食材は漏れなく計量する
献立に使用する食材料は漏れなく記入するようにしましょう。
特に砂糖や醤油、食塩といった調味料やドレッシング、炒め用の油などは記載漏れがないように注意です。
また、調味料は「ml」「大さじ○杯」「小さじ○杯」ではなく「g」に換算することを忘れないようにしましょう。
揚げ物は吸油率を使って食材が吸収した油を算出する
献立のなかに揚げ物料理がある場合、食材が吸収した油の量を計算する必要があります。
計算する際は、吸油率を使い、以下の式で計算します。
食材が吸収した油の量=材料の総重量×吸油率 |
吸油率は衣や食材によって変わり、参考として調理法・食材・料理ごとの参考の吸油率を以下の表にまとめました。
調理方法 | 吸油率 |
素揚げ | 約10% |
から揚げ | 約10% |
天ぷら | 約10~15% |
フライ | 約10~15% |
(参考): 消費者庁-食品表示法に基づく 栄養成分表示のための ガイドライン
調理方法の吸油率は参考のため、栄養計算においては「調理方法の吸油率のおおよその数値×食材の総重量」で簡易的に計算することもあります。
献立の栄養価計算はソフトを使うと確実
食品成分表を見ながら1つずつ食材の栄養価を算出するのは、非常に手間がかかり、計算間違いも起きやすくなるため、現在はソフトを使った栄養計算が主流です。
栄養計算のソフトを導入することで、正確さやスピードアップはもちろん、献立作成を担う栄養士・管理栄養士の業務効率化も期待できます。
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