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2025.01.30

学校給食は栄養バランスが悪い?給食の必要性や子どもが不足しやすい栄養素とは

学校給食は栄養バランスが悪い?給食の必要性や子どもが不足しやすい栄養素とは

学校や職場、医療機関、福祉施設などで提供される給食。特に日本では学校給食が広く普及しており、小中学校の児童や生徒に栄養バランスがとれた食事を提供しています。学校給食は児童・生徒の成長や健康を支えることに大きく貢献しています。

本記事では、学校給食の栄養バランスについて解説するほか、子どもに不足しやすい栄養素をどのようにカバーするのかについてまとめました。

栄養バランスは悪い?学校給食は1日のおよそ1/3の栄養量が設定されている

結論として、給食の栄養バランスは良好であり、児童・生徒の1日に必要な栄養素が満たすように献立が計画されています。

日本の学校給食は、文部科学省が定めた「学校給食摂取基準(※)」に基づき、1日に必要なエネルギーの約3分の1を提供することが原則とされています。この基準をもとに栄養教諭が献立を作成し、栄養バランスが考慮された給食を提供しているのです。

ただし、子どもたちが1日に必要な栄養を効率よく摂取できるよう設計されていますが、あくまでも家庭での食事と組み合わせることを前提としています。そのため、学校給食(昼食)以外の、朝食や夕食の内容にも気を配ることが重要でしょう。

(※)参考サイト:児童又は生徒1人1回当たりの学校給食摂取基準:文部科学省

関連記事:「給食は栄養バランスが良い食事の手本|給食の根拠となる基準やガイドラインについても解説

児童・生徒が不足しがちな栄養素|給食ではどのように補う?

給食では、1日に必要な栄養素を満たすように献立が考えられていますが、児童・生徒に不足しがちな栄養素には何があるのでしょうか?

また、給食でどのようにして補っているのかについても次から見ていきましょう。

不足しやすい栄養素|1. カルシウム

カルシウムは骨や歯の発育に必要な栄養素であり、血液の凝固や筋肉の収縮といった身体の重要な機能にも関与しています。特に、骨の発達が顕著な時期である児童・生徒は、骨の主材料となるカルシウムを意識して摂取することが重要です。

学校給食では、カルシウムを効率よく摂取できるよう工夫されており、具体的には下記のような食材が献立に取り入れられています。

  • 牛乳や乳製品(チーズ、ヨーグルト)
  • 骨ごと食べる魚(しらす、ししゃも)
  • 大豆・大豆製品(高野豆腐、豆腐)
  • 葉物(小松菜、モロヘイヤ) など

さらに、カルシウムの吸収を促進する「ビタミンD」を多く含む食材も積極的に利用されています。例えば、きのこ類や魚類(鮭、いわし)をカルシウムを含む食材と組み合わせることで、効率的な栄養摂取につながります。

不足しやすい栄養素|2. 鉄

鉄は血液中の赤血球に存在し、全身に酸素を運搬する重要な役割を担う栄養素です。この鉄が不足すると、全身に酸素の供給が行えず、「鉄欠乏性貧血」を引き起こす原因となります。

鉄を効率よく摂取するために、以下のような食材を学校給食に活用することが推奨されています。

  • 肉類(レバー)
  • 魚介類(まぐろ、かつお、あさり)
  • 葉物(小松菜、ほうれん草)
  • 大豆・大豆製品(高野豆腐) など

また、鉄の吸収率を高めるために、ビタミンCやクエン酸を含む食材を一緒に摂取することが効果的です。

ビタミンCはキウイフルーツ、オレンジ、いちごなどの果物類に、またクエン酸は酢やレモン汁などに含まれています。これらを鉄を含む食材と組み合わせることで、より効率的な鉄の摂取が期待できるでしょう。

不足しやすい栄養素|3. ビタミンB1

ビタミンB1は糖質を代謝するために必要不可欠な栄養素です。体内でのエネルギー代謝を支えるため、学校給食だけでなく、日々の食事で十分に摂取することが重要とされています。

ビタミンB1は、下記のような食品に含まれています。

  • 豚肉や鮭などの動物性食品
  • 大豆やほうれん草などの植物性食品

さらに、ビタミンB1が添加された強化米を主食に取り入れることも効果的とされています。

不足しやすい栄養素|4. ビタミンC

ビタミンCはコラーゲン合成をはじめ、鉄の吸収促進や免疫力強化などに関わる栄養素です。

このビタミンCは下記の食品に多く含まれています。

  • 果物類:キウイフルーツ、いちご、オレンジ
  • 野菜類:ピーマン、ブロッコリー、ゴーヤ
  • 芋類:じゃがいも、さつまいも など

ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱い性質を持つため、調理中の損失が懸念されます。しかし、じゃがいもやさつまいもなどは、ビタミンCがでんぷん質で保護されており、調理後も残存率が高いといわれています。

このため学校給食において、芋類はビタミンCの供給源として優れた食材の一部といえるでしょう。

不足しやすい栄養素|5. 食物繊維

食物繊維は整腸作用をはじめ、人にとって有益な働きをする成分です。動物性食品にはほとんど含まれていないため、主に下記の植物性食品から摂取する必要があります。

  • 穀類(ごはん、パン、とうもろこし など)
  • 豆類(大豆、小豆 など)
  • 野菜類(ごぼう、ブロッコリー、おくら など)
  • 果実類(みかん、キウイフルーツ など)
  • きのこ類(きくらげ、しいたけ、ぶなしめじ など)
  • 藻類(わかめ、ひじき、昆布 など)

現代では、子どもだけでなく、多くの日本人が食物繊維を十分に摂取できていない状況にあります。そのため、学校給食においても食物繊維がしっかりと摂取できる献立が求められます。

学校給食の実施がないと栄養バランスが悪い?

学校給食の実施がないと栄養バランスが悪い?

学校給食は必要な栄養素を満たすように、計画的に栄養バランスが考慮されている食事です。しかし、休日や長期休暇などで学校給食がない日だと、特定の食品や栄養素が不足したり、過剰になったりする傾向があると言われています。

学校給食がない日の食品・栄養素の摂取について、具体的には以下の傾向が見られます。

  • 乳類・野菜類の摂取量が減少する
  • ビタミン・ミネラルが不足する
  • 食塩摂取量が増加する

特に、日本の学校給食では毎食牛乳が提供されるため、給食がない日は乳類およびカルシウムの摂取量が低いことが指摘されています。こうした点を踏まえ、学校給食がない休日や長期休暇中も必要な栄養素をバランスよく摂取できる工夫が求められるでしょう。

栄養バランスだけじゃない!学校給食が子どもに与える影響

学校給食は子どもの健やかな成長に貢献する食事です。しかし栄養摂取だけでなく、さまざまな役割も担っています。

ここからは、学校給食が子どもに与える影響について見ていきましょう。

食育

学校給食は子どもの食習慣や栄養に関する理解を深める「食育」の重要な場となっています。給食では、主食・主菜・副菜・牛乳・果物がそろった献立が提供されるため、子どもたちは自然と栄養バランスの良い食事に触れられます。

学校給食は、子どもの食習慣や栄養に関する理解を深める「食育」の重要な場となっています。給食では、主食・主菜・副菜・牛乳が基本的にそろった献立が提供され、栄養バランスの良い食事に自然と触れられるようになっています。また、果物は毎日ではありませんが、ビタミンや食物繊維を補う大切な役割を果たしています。

また、その地域独自の食文化に触れる機会が設けられたり、旬の食材が献立に取り入れられたりするなど、学校給食は生きた教材として食の大切さを学ぶこともできます。

これらの経験を通じて、食への興味・知識が深まることが期待できるでしょう。

礼儀やマナー

学校給食は、食事の基本的なマナーや他者への配慮、感謝の気持ちを身に着ける場でもあります。具体的には次のようなことが挙げられます。

  • 食事前後のあいさつ:「いただきます」「ごちそうさま」の言葉を通じて、食事を作ってくれた人や食材への感謝をする
  • 正しい姿勢や食具の使い方:箸の持ち方、座り方など、他者を不快にさせない基本的な食事マナーを身に付ける
  • 周りを不快にさせない食事方法:口を閉じて咀嚼する、食事中は席を立たないなど、周囲への配慮を身に付ける

コミュニケーション

学校給食は、同じ教室でクラスメイトや教員と一緒に食事をするため、自然と会話が生まれ、社会性や他者との関わり方を学ぶ機会になります。

具体的には、共通の話題での会話(給食の味の感想・学校生活・日常での出来事など)で意見や情報を交換する、あるいは給食の配膳や片付けを分担・協力することが挙げられるでしょう。

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