食品ロスは何が問題?SDGsとの関係と削減に向けた取り組みについて紹介

食品ロス(フードロス)とは、本来食べられるはずの食品が消費されないまま廃棄されること。これは日本国内にとどまらず、世界的にも深刻な問題とされています。
この問題を受け、2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)においても、食品ロスを減らす目標が掲げられました。
食品ロスは、環境への負荷や経済的な損失を引き起こすだけでなく、食料不足・貧困をさらに悪化させる要因となります。
本記事では、大量に生じている世界中の食品ロスは何が問題なのかについて解説するほか、食品ロス削減に向けて、国や事業所がどのような取り組みをおこなっているかについても紹介します。
目次
食品ロスが発生する原因
食品ロスは大きく「事業系食品ロス」と「家庭系食品ロス」の2つに分類されます。
事業系食品ロスは、食品製造業や外食産業、食品小売業など事業者から出る食品ロスを指し、主な原因としては下記が挙げられます。
- 規格外品(形や大きさが基準を満たさず、市場に出せないもの)
- 返品(賞味期限や需要変動によって発生する)
- 売れ残り(小売店で消費されずに廃棄)
- 食べ残し(飲食店で提供したものが食べられずに廃棄) など
一方で家庭系食品ロスは、一般家庭から発生する食品ロスを指し、原因としては下記が挙げられます。
- 食べ残し(調理・提供したものが食べきれない)
- 過剰除去(食品の可食部分まで取り除いて廃棄すること)
- 期限切れ(賞味期限・消費期限が過ぎた食品の廃棄) など
日本や世界における食品ロスの現状
日本では、年間約472万トン(2022年度推計値)の食品ロスが発生しており、内訳としては事業系・家庭系ともに約236万トンずつとなっています。一方、世界全体では年間約13億トンの食料が廃棄されており、これは消費のために生産された食料のおよそ3分の1に相当する数値です。(※1)
このように、世界では大量の食料が生産・流通しているにも関わらず、多くが廃棄されている現状が問題となっています。では、この食品ロスがもたらす問題とは具体的にはどのようなものなのか、次から詳しく見ていきましょう。
(※1) 参考:食品ロスってなに?|[消費者庁]めざせ!食品ロス・ゼロ
食品ロスは何が問題か①環境への負担と資源の無駄遣い
食品ロスは、温室効果ガスの排出や資源の無駄遣いにつながり、環境への負荷が懸念されています。
温室効果ガスの過剰排出と地球温暖化
食品ロスは、温室効果ガスの排出によって地球温暖化の一因となっています。
廃棄された食品を焼却すると、二酸化炭素(CO₂)が直接排出されます。2022年度の食品ロス量(472万トン)をもとに推計すると、食品ロスによる温室効果ガス排出量は合計1,046万t‐CO2(※2)に達すると言われています。
また、食品を焼却処理せずに埋立処分をすると、CO₂よりも強い温室効果をもつメタン(CH₄)が発生します。メタンはCO₂の約28倍の温室効果を持つ(※3)物質です。
さらに、廃棄される食品は、水分を多く含むため、焼却時により多くのエネルギーを消費します。その結果、焼却にかかるエネルギーが増大し、さらなるCO₂排出につながります。
このように食品ロスは単なる廃棄による環境負担ではなく、地球温暖化を加速させる要因となっています。
(※2) 参考:食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量の推計結果:消費者庁
(※3) 参考:温室効果ガスインベントリの概要 | 温室効果ガス排出・吸収量等の算定と報告 | 環境省
食料生産や流通に関わる資源の無駄
食品を廃棄することは、単に「食べ物を捨てる」だけでなく、その食品を生産・流通させるためにかかる資源を無駄にすることを意味します。
私たちが普段食べている食品が生産され、流通を経て手元に届くまでには、多くのエネルギーや資源が必要です。ここで言う資源には以下のようなものが含まれます。
- 水(農作物栽培や家畜の飼育に使用)
- 土地(農場や牧場として利用)
- 電気・燃料(温度管理、照明、輸送に関わる)
特に日本は食料自給率が低く、多くの食品を輸入に依存しています。そのため輸入に伴うエネルギー消費が多いというのも課題です。
生産された食品が消費されず廃棄されることは、その食品を生産・加工・流通させるために使用した資源がすべて無駄になることを意味します。
食品ロスは何が問題か②経済的な損失
食品ロスは、家庭や国全体の経済にも大きな損失をもたらしています。
2022年度の推計値ですが、食品ロスによる経済損失額の合計は年間約4.0兆円にのぼり、この額を国民1人あたりに換算すると、年間32,125円の損失に相当します。つまり1人が毎年3万円以上の食品を捨てている計算です。(※2)
また食品ロスがあることで、本来必要のない廃棄物処理費用が発生し、市町村の財政負担が増加します。これによって税金の一部が食品廃棄の処理に使われることとなり、税金が浪費される結果になってしまいます。
(※2) 参考:食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量の推計結果:消費者庁
食品ロスは何が問題か③食料分配の不平等
世界全体を見てみると、多くの食品が生産・廃棄されてる一方で、食料不足や飢餓に苦しむ地域が存在しているという矛盾が生じています。
現在、世界の人口は新興国・途上国を中心に増加傾向であり、食料不足や飢餓問題はより深刻化している状況です。
しかし、地球上にはすべての人に行き渡るだけの十分な食料が存在しているにも関わらず、その約3分の1が廃棄されているのが現状です。
この不均衡な状況は、単に「食料が不足している」のが問題というよりも、適切に分配がおこなわれていないことが原因の一つと言えるでしょう。
SDGsと食品ロス削減の関係

SDGs(持続可能な開発目標)は国連で採択された目標のこと。2030年までに達成すべき17の大目標と、それを具体化する169のターゲットで構成されています。
SDGsでは、食品ロス削減が重要な目標の一つとして掲げられており、特に下記2つの目標は食品ロスと深く関係しています。
目標 | 概要 |
---|---|
目標2 「飢餓をゼロに」 | 2030年までに飢えをなくし、誰もが栄養のある食料を手に入れられること |
目標12 「つくる責任 つかう責任」 | 生産と消費の持続可能性を確保するため、資源を無駄にせずに有効活用すること |
このように、食品ロス問題とSDGsは密接に関わっており、食品ロス削減は持続可能な社会の実現に向けた重要な課題の一つです。
関連サイト:SDGsとは?|JAPAN SDGs Action Platform|外務省
日本政府や企業の食品ロス削減の取り組み
国連でのSDGsが採択されたことをうけ、日本は2030年までに食品ロスの発生量を2000年度比で半減させることを目標としています。これを達成するために、食品ロス削減に関わる2つの法律をもとに、対策を進めています。
法律 | 内容 |
---|---|
食品ロス削減推進法 (2019年10月施行) | 食品ロスを国民運動として推進するための法律 【基本施策】
|
食品リサイクル法 (2001年5月施行) |
|
これらの目標や法律をもとに、各事業者は食品ロス削減に向けたさまざまな取り組みをおこなっています。
事業者の取り組み(例) | 内容 |
---|---|
賞味期限の延長 | 製造・流通段階での工夫により、食品の賞味期限を延ばし、廃棄されるリスクを低減 |
フードバンクへの寄付 | 食べられるのに廃棄される食品を福祉施設やNPO団体へ寄付 |
不揃い品の販売 | 規格外の食品(形が不揃いな野菜や傷のある果物など)を販売し、廃棄を削減 |
このように企業がこれらの取り組みに積極的に参入することによって、食品ロス削減に向けた動きが加速しています。食品ロス削減は、環境や経済、社会にとって大きなメリットがあるため、今後さらに取り組みが強化されていくことが期待されるでしょう。
関連記事:「給食で生じる食品ロスを削減するための対策や取り組みとは?」
ソフトムのサービスが食品ロス対策をサポート
大量調理をおこなう給食施設においても、食べ残しや調理残渣の削減など、食品ロス削減に向けた取り組みは欠かせないものとなっています。
給食の献立作成・栄養管理に使用されるソフトムの「メニューデザイナーNEXT」をはじめとしたサービスは給食現場の食品ロス削減をサポート。食品の廃棄率をユーザーが自由に設定できる機能を備えており、これによって正確な発注量が算出可能です。適正な発注管理が実現し、食品の無駄を最小限に抑えられます。
例えば、じゃがいもの皮を平均で10%むく調理現場において、システム内でも廃棄率を10%と設定します。それによって、使用量が「900g」必要である場合は、廃棄率(10%)を考慮して発注量が「1kg」と計算されます。
また、メニューデザイナーNEXTのシステム内では、食品の廃棄率を任意の数値に修正することも可能です。廃棄率の修正を活用できる具体的なケースとして、以下のような例が挙げられます。
①食材の廃棄部分が少ない場合 例:骨なしの魚、カット済み野菜などは廃棄率を「0%」に設定 ②皮付きの食材を使用する場合 例:じゃがいも・にんじんなどを皮ごと調理するときは廃棄率を低く設定 ③調理技術による廃棄率の変動がある場合 例:ベテラン調理員は皮を薄くむくことが可能なため、従来の廃棄率よりも低く設定 |
給食施設の使用食材や調理員の技術レベルに応じて、適切な廃棄率を設定することで、過不足のない発注が可能になります。
このように、「メニューデザイナーNEXT」を活用していただくことで、調理現場における食品ロスを削減し、効率的な食材管理が可能です。
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