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2025.05.09

介護施設で提供される食事のメニュー例を紹介|高齢者にとって食べやすい食事形態とは

介護施設で提供される食事のメニュー例を紹介|高齢者にとって食べやすい食事形態とは

介護施設において、食事は入居者にとって楽しみの一つです。そのため、栄養バランスや食べやすさに配慮された食事が毎日提供されています。

本記事では、介護施設で提供される食事のメニュー例を紹介するとともに、通常の食事が食べにくい方に向けた食事形態についても解説します。

また、1日3食の食事を365日提供する介護施設で、飽きられない献立を作成するのに役立つソフトムのサービスについてもご紹介します。

介護施設の食事において重視されるポイント

介護施設では、主に「栄養バランス」と「食べやすさ」を意識した食事の提供が行われます。

次からそれぞれ見ていきましょう。

栄養バランス

高齢者は加齢に伴い、食事量が減少しやすく、エネルギー不足やたんぱく質不足に陥ることがあります。特にたんぱく質の摂取は筋力や骨の健康を維持するために不可欠で、不足すると低栄養状態となり、転倒や寝たきりのリスクが高まります。そのため、肉・魚・大豆製品・卵などを適切に取り入れ、効率的にたんぱく質を補うことが重要です。

また、高齢者は塩分の摂取にも注意が必要です。加齢により味覚が鈍くなると、濃い味付けを好む傾向があり、塩分過多につながることがあります。

過剰な塩分摂取は高血圧の原因となり、疾患リスクを高めるため、塩の使用量を控えるとともに、出汁や香味野菜を活用するといった、味の満足感を得る工夫が必要です。

食べやすさ

高齢者は加齢に伴い、咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)機能が低下するため、安全に食事をするためにも、調理法や食材の形状を工夫することが必要です。

例えば、食材を柔らかくするために、煮る・蒸す・茹でるといった調理法が活用されています。また、肉類は噛みやすいように切り込みを入れる、魚類は皮や骨を取り除くなどの対応がされるケースもあります。

関連記事:「高齢者の食事の特徴って?健康のために摂取すべき栄養や注意すべきポイントを解説

介護施設の食事メニュー例

介護施設では1日3食が入居者に提供されています。ここでは、介護施設で提供されるメニュー例(常食)を見ていきましょう。

区分食事内容
朝食ロールパン、ジャム コンソメスープ オムレツ 野菜サラダ 牛乳
昼食ご飯 すまし汁 カジキの照り焼き ひじきの五目煮 青菜のお浸し
夕食ご飯 中華スープ 麻婆茄子 冬瓜のカニ風味あんかけ フルーツ

介護施設での食事は、基本的に主食・主菜・副菜が揃ったバランスの良い構成です。また、上記のメニューのように、洋食・和食・中華など、系統のバリエーションを持たせることで飽きの来ない工夫がされています。

また、施設によっては朝・昼・夕で選択制のメニューを導入している場合もあります。例えば、朝食の主食はパンかごはんが選べる、昼食・夕食で主菜を肉または魚から選択できるなど、入居者の好みに合わせた対応が可能な場合もあります。

イベント食・行事食

介護施設では、入居者が季節の変化や行事を楽しめるよう、さまざまな行事食・イベント食を提供しています。以下は、代表的な行事とそのメニュー例です。

行事メニュー例
1月お正月 1月7日おせち 七草粥
2月節分 バレンタインデー恵方巻き チョコレートのケーキやゼリー
3月桃の節句ちらし寿司
4月お花見花見弁当 山菜料理・春野菜を使うメニュー
5月端午の節句筍料理(ご飯・天ぷらなど)
6月梅雨・夏至初夏の食材を使うメニュー
7月七夕 土用の丑そうめん・七夕ゼリー うなぎ
8月お盆精進料理
9月重陽の節句 敬老の日栗ご飯・茄子の煮びたし 天ぷらの盛り合わせ
10月ハロウィンかぼちゃを使うメニュー
11月紅葉行楽弁当
12月クリスマス 大晦日ケーキ・ローストチキン 年越しそば

これらの行事食を通じて、入居者は季節の移り変わりを感じてもらうことができます。特に外出が難しい入居者にとっては、行事食が季節の変化を味わう貴重な機会となるでしょう。

また施設によっては、寿司職人による出張握り寿司のイベントや郷土料理の提供、誕生日会など、特別な食のイベントを実施し、入居者の楽しみを増やす工夫をしています。

介護施設では、日々の食事が単調になりがちですが、行事食やイベント食の実施で特別感を演出できます。さらに、季節のイベントに関連した食事を提供することで、会話が弾み、入居者同士やスタッフとの交流が深まることも期待できるでしょう。

関連記事:「老人ホームや介護施設の食事はどんな工夫がされている? 入居前に知っておきたい高齢者食や介護食のこと

介護施設で提供される食事の形態について

介護施設で提供される食事の形態について

介護施設では、入居者の健康状態や嚥下機能に応じた食事形態を提供しています。主な食事形態には以下のような種類があります。

  • 常食
  • 軟菜食
  • きざみ食
  • ミキサー食
  • ソフト食

それぞれの特徴について見ていきましょう。

常食

常食とは、特別な制限がなく、咀嚼や嚥下、胃腸の機能に問題がない人向けの通常の食事を指します。介護施設では、健康な高齢者や、食事に関して特別な配慮が不要な入居者に提供される基本的な食事形態です。

主食は一般的な米飯で、副菜や主菜も特別な加工を施さず、食材の食感を活かした調理が行われます。塩分や栄養バランスに配慮しつつ、日々の食事の楽しみを大切にしています。

軟菜食

軟菜食とは、基本的に常食と同じ食材を使用しながら、柔らかく調理した食事です。舌や歯茎でつぶせる程度のかたさに仕上げることで、噛む力が弱くなった高齢者でも安心して食べられるよう工夫がされています。

見た目や味は常食に近いものの、食材の選定や調理法に工夫が必要で、例えば、下記のような対応が行われています。

  • 魚は柔らかくて消化が良い白身魚を使う
  • 繊維が多い根菜類の付け合わせを青菜に変更する
  • 魚の皮や小骨は取り除く など

また、主食には全粥や軟飯(水分が多い米飯)が採用されることが多く、飲み込みやすさにも配慮されています。

きざみ食

きざみ食は、咀嚼機能が低下した高齢者向けに、食材を5mm〜2cm角に刻んだ食事形態です。主食にはお粥が一般的に用いられます。

調理の際は、食材を個別に刻み、盛り付けるのが基本ですが、細かく刻んだ食材は口の中でバラバラになりやすく、誤嚥のリスクが高まる可能性があります。

そのため、安全に食べられるように、和風だしや洋風だしにとろみをつけた「とろみあん」を加える工夫が有効です。これにより、刻んだ食材のまとまりが良くなり、飲み込みやすくなります。

ミキサー食

ミキサー食とは、調理済みの料理に水分を加え、ミキサーで液体状にした食事のことです。咀嚼や嚥下の機能が大きく低下した高齢者向けに提供され、飲み込みやすくするために専用のとろみ剤が使用されます。

ただし、ミキサー食にはいくつかの注意点があります。まず、水分を多く加えると料理の体積が増え、その分、栄養密度が低下しやすくなります。また、適切な粘度を保つためにはゲル化剤の調整が必要であり、その工程に手間がかかることもデメリットの一つです。

ソフト食

ソフト食(※)は、舌でつぶせるほど柔らかい食事で、咀嚼や嚥下機能が大きく低下した高齢者向けに提供されます。

調理方法としては、調理済みの料理をミキサーにかけてペースト状にし、専用のゲル化剤を混ぜて加熱します。その後、型に流し込んで成型・冷却し、食材の形を再現した状態で盛り付けて提供されます。

ソフト食の大きなメリットは、飲み込みやすいだけでなく、食材の見た目を維持できる点です。一方で、ミキサー食と同様に、ゲル化剤の調整や加熱工程に手間がかかるというデメリットもあります。

※ソフト食:施設によって食事形態の名称が異なることがあります

介護施設の献立作成に給食管理システムの機能が便利

介護施設では、朝食・昼食・夕食の3食を365日提供するため、入居者が飽きないように献立を組むことが求められます。

しかし、使用できる食材が限られているなかで、バリエーションを豊かにしつつ、食材の重複を避けながら献立を考えるのは容易ではありません。そのため、効率的に献立作成を進めるには、給食管理システムの機能を活用するのがおすすめです。

例えば、ソフトムのメニューデザイナーNEXTには食品チェック機能が搭載されており、使用不可の食材を即座に判別可能です。また、食品の重複も簡単に確認できるため、飽きのこない多彩なメニューを効率よく作成できます。

さらに、常食から軟菜食への食材変換もスムーズに対応可能です。食品変換表の機能を活用することで、常食の食材を軟菜食用に一括で変換でき、個別対応の負担を軽減します。

このように、給食管理システムを導入することで、献立作成の負担を減らしながら、利用者の状態に合わせた適切な食事提供が可能になります。献立作成でお困りの際は、ぜひ活用をご検討ください。

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