高齢者の食事量はどのくらいが目安?食事の量を確保する対策も紹介

加齢に伴い、食欲の低下や咀嚼・嚥下機能の衰えが起こりやすくなるため、高齢者は成人と比べて食事量が減少する傾向があります。その結果、必要な栄養が十分に摂取できていないケースも少なくありません。
では、高齢者は実際にどの程度の食事量を目安にすればよいのでしょうか。
本記事では、高齢者に適した食事量の目安について、具体的な食事例を交えながら分かりやすく解説します。あわせて、無理なく食事量を確保するための工夫や対策についてもご紹介します。
目次
高齢者の食事量の目安は?
高齢者の食事量を考えるうえで参考になるのが、厚生労働省が策定している「日本人の食事摂取基準(2025年版)」です。
この食事摂取基準は、健康の保持・増進や生活習慣病の予防を目的として、食事から摂取すべきエネルギー量や栄養素の目安を示した指針です。
65歳以上の高齢者が1日に必要とする推定エネルギー量は、年齢や性別、身体活動レベルによって異なります。
- 65~74歳以上:男性「2,100~2,650kcal」、女性「1,650~2,050kcal」
- 75歳以上:男性「1,850~2,250kcal」、女性「1,450~1,750kcal」
▼参考:推定エネルギー必要量(kcal/日)
| 男性 | 女性 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 身体活動 レベル (※) |
低い | ふつう | 高い | 低い | ふつう | 高い |
| 65~74歳 | 2,100 | 2,350 | 2,650 | 1,650 | 1,850 | 2,050 |
| 75歳以上 | 1,850 | 2,250 | ‐ | 1,450 | 1,750 | ‐ |
※身体活動レベル:
・低い:生活の大部分が座位で、静的な活動が中心
・ふつう:座位中心だが、日常での歩行があり軽いスポーツもする場合
・高い:移動や立位が多く、活発な運動習慣がある
そのため、エネルギーを目安に考えると、1日3食の場合、1食あたり男性は620〜880kcal、女性は480〜680kcal摂取することになります。
高齢者は食事量が減りやすい傾向にありますが、健康を維持するためには、年齢に応じた適切なエネルギー量を意識し、1食1食をしっかり食べることが重要です。
【1日の食事例を紹介】70歳女性の場合
ここでは、高齢者の食事量を具体的にイメージしやすいよう、1日の食事例をご紹介します。今回は、70歳女性で1日あたりのエネルギー摂取量を「1,850kcal」とした場合の献立例です。
▼条件
- 70歳女性
- 活動量:ふつう
- 1日あたりの推定エネルギー必要量:1,850kcal
| 区分 | 食事内容 |
|---|---|
| 朝食 |
|
| 昼食 |
|
| 夕食 |
|
| 間食 |
|
この献立例では、主食・主菜・副菜をそろえることを基本とし、1日を通してバランスよく栄養を摂取できる構成としています。
また、フレイル予防の観点から、たんぱく質を十分に確保するため、副菜にも肉・魚・大豆製品などのたんぱく源を適宜取り入れています。さらに、必要なエネルギー量を確保するため、調理油や食材由来の脂質も適度に取り入れている点がポイントです。
高齢者は食事量が少なくなりがち|その理由とは?
高齢になると、若い頃に比べて食事量が自然と少なくなる傾向があります。これは単なる食欲の問題ではなく、以下のような身体的な変化や心理的、社会的な要因が複合的に関係しています。
【高齢者の食事量が減りやすい主な要因】
- 加齢による食欲・代謝の低下
- 口腔・嚥下機能の低下
- 心理・社会的な要因
1. 加齢による食欲・代謝の低下
まず大きな要因として挙げられるのが、加齢による食欲や代謝の低下です。
年齢を重ねると基礎代謝が下がり、エネルギー消費量が減少。その結果、空腹を感じにくくなり、自然と食事量が少なくなります。また、味覚や嗅覚が鈍くなることで食事の楽しみを感じにくくなり、食欲低下につながる場合もあります。
2. 口腔・嚥下機能の低下
口腔機能や嚥下機能の低下も食事量減少の大きな原因です。
歯の本数が減ったり噛む力が弱くなったりすると、硬いものや繊維の多い食材が食べにくくなり、食べられる食品が限られてしまいます。さらに、飲み込む力が低下すると「むせるのではないか」という不安から、無意識のうちに食事量を減らしてしまうことも考えられます。
3. 心理・社会的な要因
食事量の減少には、心理的・社会的な要因も大きく関係しています。
一人で食事をする機会が増えたり、配偶者や家族を失ったりすることで、食事への意欲や関心が低下することがあります。こうした孤食や生活リズムの変化は、食事量の減少を招きやすく、結果として高齢者の栄養不足につながる要因となります。
食事量が少なくなると起こるリスクとは

高齢者の食事量が少なくなると、体にさまざまな悪影響が現れやすくなります。一時的な食欲不振であっても、それが続くことで健康状態に大きな差が生じる点には注意が必要です
ここでは、食事量の減少によって起こりやすいリスクについて解説します。
栄養不足(低栄養・サルコペニア・フレイル)のリスク
食事量が少なくなると、高齢者は低栄養やサルコペニアを引き起こすリスクが高まります。
高齢者は加齢により筋肉量が減少しやすい状態にあります。そこに食事量の減少が重なると、特にたんぱく質やエネルギーの摂取量が不足し、筋肉の合成が追いつかなくなります。その結果、筋力や体力の低下が進行し、転倒リスクの増加や、要介護状態につながる可能性が高まります。
栄養不足を防ぐためにも、高齢者の食事献立では、量が少なくても高たんぱくで栄養価の高い食品を意識して取り入れることが重要です。
関連記事:高齢者が低栄養になる原因とは? 栄養バランスを考えた食事で健康のサポートを
免疫力低下・感染症や疾病のリスク
食事量の減少は、免疫力の低下を招き、感染症などにかかりやすくなる原因です。
免疫機能を維持するためには、たんぱく質をはじめ、ビタミンやミネラルなどの栄養素が欠かせません。食事量が少なくなることでこれらの栄養が不足すると、体の防御機能が弱まり、風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなります。さらに、感染した際に重症化するリスクも高まります。
特に高齢者は、一度感染症にかかると回復までに時間がかかり、体力のさらなる低下を招きやすくなります。毎日の食事で安定して栄養を摂ることが、健康維持と生活の質の向上につながります。
必要な食事量を確保するための対策
高齢者は、食欲や咀嚼力の低下により、十分な食事量を確保することが難しくなりがちです。ここでは、高齢者が必要な食事量を確保するために意識したい対策を紹介します。
【必要な食事量を確保するための主な対策】
- 高栄養・高たんぱく食にする
- やわらかく・飲み込みやすい調理にする
- 食事の回数・タイミング・環境を見直す
- 一緒に食べる・会話をする「共食」を増やす
1. 高栄養・高たんぱく食にする
食が細くなっても、たんぱく質を意識した食事は欠かせません。量が少なくても、必要な栄養をしっかり摂ることが重要です。
高齢者は食事量が減りやすい一方で、筋肉や免疫機能を維持するために、たんぱく質やエネルギーを十分に摂取する必要があります。
魚や肉、卵、豆腐、牛乳など、たんぱく質を含む食材を毎食一品は取り入れることを心がけましょう。食事だけで補うのが難しい場合は、栄養ドリンクや高たんぱくゼリーなどの栄養補助食品を活用するのも有効です。
2. やわらかく・飲み込みやすい調理にする
歯や嚥下機能に合わせて、やわらかく、水分を多く含む料理にすることで、食べやすさが向上します。
硬い食材やパサついた料理は、高齢者にとって食べづらい場合があるため、調理方法を工夫してやわらかく仕上げると、食べにくさが軽減され、安心して食事を続けられます。
例えば、豚肉のソテーを豚のやわらか煮にしたり、焼き魚を煮魚に変更したりするだけでも、高齢者にとって食べやすい食事になります。
煮る、蒸す、あんかけといった調理法を取り入れるほか、必要に応じて、刻み食やソフト食、ムース食など、食材の形状を調整する方法も効果的です。
関連記事:介護施設で提供される食事のメニュー例を紹介|高齢者にとって食べやすい食事形態とは
3. 食事の回数・タイミングを見直す
1日3回の食事にこだわらず、食事の回数を増やすことで、無理なく食事量を確保できます。
例えば、朝・昼・夕の1日3食に加えて、10時や15時に間食を取り入れると、全体の食事量を増やしやすくなります。
間食には、ヨーグルトやバナナ、牛乳プリンなど、栄養があり食べやすいものを選ぶとよいでしょう。
4. 一緒に食べる・会話をする社会的食事を増やす
誰かと一緒に食べる「共食」は、自然に食事量を増やす効果的な方法です。
1人で食べるいわゆる「孤食」は、食欲低下や低栄養、気分の落ち込みを招くことがあります。一方で、会話やにぎやかな雰囲気があると、食事を前向きに捉えやすくなります。
家族や友人と一緒に食事をする時間を増やすことが理想ですが、難しい場合は配食サービスや地域の食事会を活用する方法もあります。日常的な会話を交えながら食事をするだけでも、食事への意欲は高まりやすくなります。
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